「異文化コミュニケーションへの挑戦」
私自身のことになるが、35年ほど前にハワイの大学に留学した経験がある。
当時のハワイには日本人留学生も少なく、日本からの学生は珍しい時代であった。1ドルが250円の時代でもあり、当時、学生の私には米国の日常品が高く思われ、経済的にも自由に物が買えない学生生活であったことを記憶している。
今や時代は変わり、外国為替も1ドル100円台で推移する時代となり、日本の誰もが経済的に自由に世界を移動できる時代となった。その一方で、海外挑戦組の日本人留学生数が年々減少している。世界がグローバル化に向かう時代に、日本には不慣れな外国へ行って言語や生活面においての苦労はしたくないといった学生たちが増え始めている。インタ-ネットという発明のお蔭で加速的に我々の生活環境も一変し、今や世界中の人々が国境や人種そして言語の壁を超えて共に歩む時代となった。
商業施設が乱立し、物が溢れる便利な国日本は、学生たちにとって不自由なく暮らすことができる場所である。が、私は彼らに冒険心をもって世界の人たちと触れ合い、人間的に成長してほしいと感じている。
ハワイは、多民族から構成された異文化交流のできる教育的条件を備えた土地である。日本の学生たちが勇気を持って、異文化体験に挑戦し積極的に国際人への道を歩んでほしいと願うものである。
牧一郎
(中村国際ホテル専門学校准教授/厚生労働省・職業能力規格ホテル産業職業能力評価制度審査員)